剱岳 源次郎尾根
剱岳 源次郎尾根 ↑右端の切れ込みが2峰からの懸垂下降点です。
剱岳バリエーションルートの中でも人気コースですが、バリエーションだけあって、岩はもろいし、道しるべなど一切ないし、2峰では25mの懸垂下降が必要。
(支点から一番下までは28mくらいか?? 25m付近のステップに乗れるので、50mのロープが1本あれば全く問題ない。)
奥穂〜西穂みたいな岩が脆い場所を歩く経験を積んで、懸垂下降の装備も持参しないと突破できない一般人お断りルートであります。
注意
※一度登り始めると、降りるのは容易ではありません。
山頂まで登りきらない事には、脱出不可能と考えて行動しなければなりません。
「源次郎尾根敗退」とかで検索すると、脱出のためには、道なき道を谷に向かって懸垂下降の繰り返しとかいう恐ろしい記録がヒットします…。
2015年9月18日
雷鳥沢のキャンプ場まで。
連休前の扇沢駐車場へ確実に駐車するのが目的。
↑黒部ダムの上から下ノ廊下方面
ああ、1年前はあそこの細い橋から黒部ダムを見上げたのかと…。
15:30 : 室堂
16:30 : 雷鳥沢キャンプ場。
大観望までは晴れて、黒部湖や針ノ木岳も見えていたけど、室堂はガスって雨。
雨の中のキャンプであります。
9月19日
7:00 : 予想では曇りからだんだんと天気が回復かと思っていたけど、雨。
雨の中を別山乗越まで標高差500m登る。
普段なら1時間弱で登れると思うものの、テント装備と食料で20kg近くあるので、流石に今回は遅い。
9:00 : やっと別山乗越到着
あいかわらずガスの中だったけど、カナリ空が青くなってきた。
休憩していると、一気にガスが取れて…。
↑目の前に剱岳キタ〜! 素晴らしい景色。
9:30 : 剱沢キャンプ場
テント設営等…。
12:10 : 時間も余ったので、翌朝の偵察。
暗い中から剱沢を下って取りつきまで行くので、雪渓の危険個所確認や、ルートを明るいうちにしっかりと目に焼き付けておく事も目的。
↑暗い中で谷を登ると分岐だらけで辛いけど、下るのは1本に収束していくので、問題なさそうですな。
剱沢雪渓は、流石に昼間だとぐずって歩き辛い…。
とりあえずキャンプ場側の先端付近がブリッジになっているから、雪渓が出てしばらくしてから雪渓に降りる。
剱岳側に滝が多く、シュルンドになっているから、雪渓に降りたらほぼ真ん中キープだなと。
↑平蔵谷出会の大岩。これだけ目立つモノがあれば、暗くてもいい目印になりますな。
↑平蔵谷。上まで登れそうな気もするけど…。どこに穴があるかワカランので、下手に近づかない方が無難。
13:20 : ↑源次郎尾根の取りつき点。
平蔵谷出会の真横。踏み跡もしっかりあるので、暗くてもまず問題なさそうですな。
雪渓の状態も確認できたし、明日は暗くても安全にここまで来れると確認できたし、剱沢小屋まで登り返してビール買ってテントへ戻るぞ!
15:00 : 剱沢テント場着
↑夕暮れの剱岳
明日登るぞ!!
9月20日
4:00 : 剱沢キャンプ場出発
↑早朝の雪渓は固く締まってて、とても歩きやすい。
しかも、昼間は乱反射して踏み跡が分からなかったけど、この暗さでライトだと、踏み跡が綺麗に1本線で浮きあがって、非常に分かりやすい!!
(※当然アイゼン装着しているからであり、アイゼン無しだと早朝の雪渓は歩けませんのでご注意を。)
5:00 : 平蔵谷出会。取りつき点
↑やはりあの岩は暗くてもよく目立つ。
5:46 : 取りつきちょい上
↑渋滞していたので景色撮影。
前パーテイの女が岩を乗り越せず、渋滞作ってしまった…。
自分達パーティは、自分が一番手足が長いので、なんて事無く通過。スリング使ってお助け紐を作って残りを通しました。
藪の中というか、木の枝のトンネルの中をしばらく通過。
6:15 : ルンゼコースとの分岐
↑このまま進んでルンゼへ突入するか、左の斜面を登って平蔵谷横の尾根へ出るか…。
↑尾根コースへ行く事に。
自分は基本的に殿(しんがり)で、手足が長い方が有利な場所だけ先に行って紐を出す役目だったけど…。
この斜面。浮き石が多いところで落石を起こさないよう心がけるという事に慣れてない人がいると、落石起こしまくり。
流石に下だと怖いと感じたので、先に登らせてもらう事に。
↑やっと尾根に出て、ハイマツの中を行く。
(背後に写ってる雪渓から、高さが分かってもらえるかと)
↑尾根筋を忠実に辿る。
踏み跡も尾根筋にしっかりあって、分かりやすい。
7:10 : ルンゼコースとの合流点
↑慣れていない人がいると、さっきの斜面だと落石起こしまくりだから、ルンゼルートの方がマシかもしれないけれど…。
ルンゼルートも非常に歩きにくそうだなと…。
↑ここはザレていて非常に登りにくい
↑上から見るとこんな感じ。
↑平蔵の頭方面。まだまだ先は長い…。
7:56 : 平蔵谷横の支尾根から源次郎尾根へ取りつく所で詰まってしまった。
↑相談中。
GPSもあるし、地形図もあるから現在地は把握しているものの…。前に道が無い…。
右端の岩を直登して上を確認してくれと頼まれて、少し登ったけど、確かにかすかな踏み跡はあるものの…。
万が一にもコレ以上登って詰まったら、こんな所を降りるなんてまっぴらごめんだぞと。 素直に無理と報告。
今回怖い思いしたのは、ここを僅かに登った下りですよ…。
↑しばらく相談していたら、他パーテイが来て、どうも脇の藪の中を突っ切るのが正解らしい…。
(もしくは藪の横の濡れている岩溝が正解。)
↑検証画像ですが…。もし無理矢理にでも右側の岩を登っていたら、しばらくは岩続きだから、行動不能に陥っていたのではないかと…。
これを回避できたのは、常々日頃から、登るからにはココを降りられるか??って考えながら行動する癖をつけていたのもあって、「ヤバい」って感覚も研ぎ澄まされていたからだと思います。
8:46 : 一峰取りつき手前脱出
↑だいぶ登ってきて、隣の八ッ峰もよく見える。
登っては懸垂の繰り返しでハードそうですな…。
9:36 : 一峰!
↑一旦下って二峰へ
10:10 : 二峰!
↑懸垂下降点はもうこの先
10:20 : 懸垂下降点
↑懸垂下降点(上)
10:30 : 懸垂下降点
↑懸垂下降点(下)
↑これで核心部も通過。あとは明瞭な尾根筋を登るのみ。
↑懸垂下降点と隣の八ッ峰
↑八ッ峰と、熊の岩のビバーク場
↑ここは少し安心して歩けるかなと。
↑またガラガラ。
一見何でもないように見えるけど、浮き石だらけ、下手に側面の岩に手をかけようものなら、岩ごと滑落ですよ。
岩に体重をかける際は要注意!
↑山頂まであと少し
12:28 : 山頂到着
↑源次郎尾根危険立ち入り禁止のプレート
↑源次郎尾根危険立ち入り禁止のプレートと共に記念撮影
前回別山尾根から登った際は、自分とは無縁の世界と思いながらこのプレートを撮影していただけに、まさか源次郎を登る事になるなんて、数年前では想像できなかったです。
↑これで3回目の剱岳登頂!
それにしても、この看板、前回来た時より進化してないか??
(看板上部に山の形が追加されてる…。)
13:00 : 山頂出発
↑早月尾根との分岐看板
ガスった時の命綱。超重要な看板
しかしまぁ、一般道は浮き石が少なくてこんなにも歩きやすいものなのかと…。
↑カニのよこばい入口
(渋滞中…。)
↑別山尾根最大の核心部、カニのよこばい。
自分が先に通過して、足を空中に踏み出すから怖いとみんな口をそろえて言っている一歩目の踏み出し位置を指摘する役に。
↑よこ歩きで通過中。
今回せっかくハーネス装着しているから、自分も鎖にセルフビレイとって通過しましたが…。
前回登った時は雨で滑りまくってたのに、よくまぁ確保も無しで通過したものだと。
我ながら恐ろしい事をしたものだと、クライミングを経験した今でこそ分かる怖さってヤツですよ。
13:50 : 平蔵のコル
↑平蔵谷と剱沢雪渓の出会
あそこから登ってきたワケか…。
↑平蔵谷と源次郎尾根
↑ちょっと進んで、前剱あたりから、一峰と二峰
この角度で見ると、二峰は懸垂下降が必要な事がわかりやすいと思います。
16:20 : 剱山荘
コーラがうまかった!!
16:55 : 剱沢小屋
ビール補給!!
17:10 : 剱沢キャンプ場
無事到着。出発して約13時間長かった…。
9月21日
一日停滞。
9月22日
6:00 : 剱沢キャンプ場
↑モルゲンローとの剱岳を見て、下山開始。
8:00 : 室堂
↑みくりが池と逆さ立山(雄山)
快晴かつ、無風でないと撮影できなからねぇ…。
まさかコレが撮影できるとは思わなかったです。
無事室堂バスターミナル到着。
シルバーウイークまっただ中だけど、朝一だったので、アルペンルートはそこまで混まず。
むしろ、登ってくる人達が大量にいたおかげで、次から次に臨時便が出てくれて、下りのこちらはガラガラの便であっという間に扇沢まで戻ってこれました。
↑GPSログ
↑GPS標高ログ
剱岳源次郎尾根。
懸垂下降が確実にできれば、今の自分なら一人でも突破できるかなとは思っていたものの、
いざ行ってみると、GPSも無力な場面に遭遇してしまい、ルートを相談しながら進む事の大切さも思い知らされました。
山頂まで登りきらない事には、安全に下山できないというプレッシャーを一人で抱え込むのは、リスクが大きすぎます。
一人だと行き詰った場所でどういう判断をしていたか分かりませんよ。
よっぽど通い慣れてでもいない限り、ココに単独で足を踏み入れるのは止めておいた方が無難かと思います。