聖岳日帰り登山
聖岳(3013m)
南アルプス南部の人里離れた場所にある3000m峰
そのアクセスの悪さから、3000m峰制覇や百名山制覇でも最後に登るという人は少なくないかと思います。
私も日本の3000m峰全制覇の為に、2013年7月20日に便ヶ島から日帰りで挑戦してきました。
↑羽田→大阪便から眺めた南アルプス南部
この山域が人里離れた秘境であると良く分かります。
注意
※便ヶ島との標高差は約2000m程度。ほぼ登り一直線なので、累積2400mにもなる甲斐駒黒戸尾根に比べたら比較的楽に登れましたが、
標高差2000m越えの日帰り登山は一般人がイキナリできるものでもありません。十分な経験の上でチャレンジしてください。
※2013年現在、便ヶ島までの林道は、林道崩落の恐れから夜間通行規制されています。
聖岳日帰りに挑戦する場合、日の出前登山は必須ですので、前日に便ヶ島へ到着し車中泊をする必要があります。
(例え来年以降に規制が解除されても、落石だらけ & 未舗装 & 川の側なのにロクにガードレールのない林道なんて、日が沈んでいる間は通行すべきでないです。
あんな酷道で真っ暗な中、対向車と離合するハメになったら泣けますよ。)
※聖岳に長野側から登る上での最大のリスクは、アクセスの悪さ(最寄りICから約2時間)と、 落石だらけでいつ崩落するかわからない林道の状態。
日帰り登山とは言え登山口へ前日入り。実質1泊2日必要な状況で、もしも地震が起きたり、ゲリラ豪雨が発生したりして林道が崩落したら、
車が下界に下ろせないという最悪な事態に陥ってしまいます。
こういう場所だと言う事をよく理解した上で入山して下さい。
7/19
9:00 : 相模原出発
10:10 : 相模湖IC
道中工事渋滞に巻き込まれつつ
12:30 : 飯田IC着
給油してガソリン満タンに。
晩飯の食料も調達
13:30 : 国道152 から林道へ
こんな山奥にも集落が…。
途中からナビの道も無くなって…。
川の側を進んでいる…。
(※カーナビでは便ヶ島へ辿りつけませんので、赤石林道へのアクセス方法は事前に調べておく必要があります)
離合可能な場所で一休み。
未舗装になって、横はガードレール無しで川…。
道の上に沢が流れているし…。奥は離合不可能な1車線。
こんな道、夜間通行止めでなくても夜に通りたくない…。
真っ暗な中で対向車が来たら悲惨そのもの…。
14:30 : 便ヶ島登山口着
聖光小屋にて車中泊の受け付け。
「何処へ行くのか?」
と聞かれて
「明日、聖をピストンします」
と答えたら、
「ほほう。骨のあるヤツだな」
と…。
農鳥小屋に泊まった時もそうだったけど、山小屋の主人の反応からして、もう十分に一般登山者の域を超えてますな。
翌日は真っ暗中に出掛けるので偵察。
結果的に、最初の遊歩道崩落点が、今回の登山で一番の危険個所だった…。
明るいうちに偵察してて正解。
コレ落ちたら50mほど下の谷へ真っ逆さま。
駐車場で車中泊する人と話をしながら晩飯。
明日は早いので日の入り前に就寝…。
7/20
2:00 : 便ヶ島出発
数か所の遊歩道崩落に注意しながら進む。
2:35 : 西沢渡
事前の情報収集で板切れの簡易橋がかけてあるのは分かっていた。
一週間前、農鳥岳登山時に暗闇の大門沢で渡渉点を見失って枝沢に迷い込んだ反省から、慎重に周囲に明かりを照らしてみると発見。
難なく渡渉成功。
ここから1300mほど延々と樹林帯の尾根を登る。
やはり尾根地形は真っ暗闇でもヘッドライトさえあれば問題なく登れるなと。
保険としてGPSは所持しているけど、今回は一切使用する機会無し。
6:00 : 薊畑到着
ここでやっと樹林帯から脱出
ココに荷物をデポして、合羽と水だけ持って出発。
ただ、まだ上空はガスがかかってる。
6:45 : 小聖手前
目の前に聖岳の山容が見えてきた
7:50 : 登頂!
登った瞬間、目の前に赤石岳。
ホントに南アルプス南部は山と山が独立していて大きい。
(目の前に見えているのに、赤石から聖岳まで縦走となると丸一日以上かかってしまう)
記念撮影。
これで日本の3000m峰18/21制覇。残りは目の前に見えている荒川三山の山のみ!
赤石岳からの縦走路尾根。その奥に薄らと北アルプスの山々。
今年の北アルプスはまだたんまり雪が残ってる。
光岳と登ってきた便ヶ島方面。周囲に町など見えない…。
ホントにココは山奥中の山奥。
もし100名山登るとなると、光岳も登る事になる。またあの林道運転せにゃならんのか…。
富士山方面。綺麗な雲海は大気が安定している証拠。
これならしばらくは雷雨も大丈夫。
3000m級の山に標高差2000m以上の登山をする度に思うけど、正真正銘、雲の下の下界から自分の足で登り切って雲の上に立つ快感は、何度やってもやめられないものです。
人間の足でも雲の上まで登る事ができるってのは誇らしい事ですよ!
8:00 : 下山開始
9:20 : 薊畑
荷物を回収
12:10 : 西沢渡
一応増水時の緊急用に手動式ロープウエイもある。
先客が使用してたものの、物凄く重そうで5分くらい頑張ってた。暑い中ご苦労なこった。
(私は板の簡易橋を渡って渡渉に20秒。頑張ってるのを横目に沢水で顔を洗って休憩)
12:50 : 下山
今回は下山が無事の証拠ではなくて、あの酷い林道を車で脱出するまで油断できない…。
14:30 : 何度か離合の為にバックしたものの…。無事林道脱出!帰途へ
ヒル下がりのジョニー。
南アルプス南部は山ヒルの巣窟だし、ネットの記録見てもヒルに取りつかれてる人もいたので、今回はこれで完全武装。
ここ数日雨が降ってなくて乾いていたおかげが、ジョニーの効果なのか、被害なし。
(ただし、聖光小屋の主人の話だと、登山者が山から持ち帰ってくるから、車中泊する時は気を付けろと…。)
今回のGPSログ
今回のGPS標高ログ
ほとんど登り。登り返し無しなので、標高差2000m以上の登山なのに11時間を切るハイペースで往復できました。
昨年の鳥倉から塩見岳へ登った記録を見てみると、出発地点の標高は1,630mにも関わらず、下山は今回より1時間遅いのだから、
塩見岳の場合は如何に登り返しが多いかって事ですな。