新穂高、4月の西穂ピラミッドピークまで日帰り
積雪期の西穂高岳
それなりの山岳知識と装備が無ければ登れませんが、尾根地形で雪崩も無いので、天気さえ見誤らなければ最高の景色を拝む事が出来ます。
新穂高⇔西穂高、夏に私が登った時は6時間15分で往復できましたが…。
新穂高ロープウエイの営業時間は9時前〜16時15分。
この山で時間に追われながらの登山は危険すぎますから、帰りに2時間以上の余裕を持つという条件で、可能なら西穂山頂まで行ってみるという予定を立てて、2013年4月25日に突撃してきました。
無雪期の記録は こちら を参考にしてください。
翌年、山頂まで日帰りした記録は こちら を参考にしてください。
2年後、3月に登った記録は こちら を参考にしてください。
注意
※丸一日快晴で風も微風という日を選んで出発していますが、この時期、滅多にこんな日はありません。
風が強くて新雪直後だと難易度は格段に上昇しますので、くれぐれも天候判断は見誤らないようにしてください。
※雪庇を見抜く能力、雪の岩場で上り下りできる能力、万が一トレースが消えても確実に帰投できる能力(もしくは登山用GPS)は必須です。
※前爪付きアイゼンとピッケルは必須です。
※今回は一切ラッセル無しの時間です。雪の状態で時間は大きく変化しますので、必ず余裕を持つ事を忘れないようにしてください。
要するに、素人がいきなり登れる山ではありません。それなりの経験を積んだ上で挑戦してください。
6:00 : 新穂高温泉手前の道の駅、奥飛騨温泉郷着。仮眠
7:30 : 新穂高登山者用駐車場へ
新穂高へ向かう車の中から槍ヶ岳も見えて、予想通り最高の天気だと確信。
8:00 : 準備をして新穂高ロープウエイ駅へ。
GPSの設定をしていたら、興味を持った一般観光客からGPSについていろいろとた尋ねられた…(汗)
8:30 : いざ出発
↑笠ヶ岳を見ながらロープウエイは登っていく…。
乗客は、登山者1割、観光客9割ってところ。
夏の西穂は登山者だらけだけど、この時期は静かな登山を楽しめます。
9:00 : 標高2100mから本日の登山スタート。
ロープウエイを降りたらみんな展望台へ向かったけど、時間が惜しいので登山口へ
アイゼン付けて、ストック出して、いざ出発
9:45 : 西穂山荘到着。
積雪2mくらいあるけど、踏み固められていたので、ここまでは夏に来た時とそんなに時間差ないです。
むしろ直登できて夏より断然歩きやすい。
夏は外に椅子とか岩とかあって休憩できるけど、雪のせいでどこも座れる場所などない。
仕方ないので雪の上に座って休憩していると…。
もうすぐヘリが来るので離れてくれと…。
↑ちょいと登って、上からヘリによる荷上げの様子を撮影。
10:00 : 丸山着
↑まず目指すはこの斜面の頂上ちょい左の岩の出っ張り、独標!
雪崩を避けるためにも忠実に尾根の中央を辿るべきだけど…。
尾根の取付き部の左側が雪庇状態になってるから、あそこは要注意だなと。
10:40 : 独標直下まできた。
↑ここでストックを片付けて、ピッケルに持ち替え。
できるだけ夏山の○印を狙ってルート取りするか…。
10:45 : 独標着。
↑左を見ると笠ヶ岳の素晴らしい景色
↑正面を見ると穂高吊尾根の大迫力!
もうここまで登れただけでも大満足でお腹いっぱいであります。
ただ…。時間の余裕もまだあるし、ピラミッドピークまで行ってみるかと。
※ココから先は超危険地帯です。適切な装備、判断力が要求されます。
↑独標から降りたところ。
私の足跡しかないので、どのようなルートをとっているか分かりやすいかと思います。
左(長野)側はモロに雪庇。踏み抜いたら命はないので、安全な岩場寄りを通過しています。
↑独標次のピークからの下り…。
↑同じ場所の夏の写真。
そういえば夏に来た時もココをどう降りるかで悩んだなと…。
雪庇を避けて岩場側に身を乗り出す形で通過するか…。
11:30 : ピラミッドピーク着。
↑やっと到着。夏に来た時はもう山頂についていた時刻。ここらで引き返しが無難だなと。
(時間的余裕がない状態では判断力が鈍るから危険極まりないのもここで折り返した理由)
無雪期なら日帰り余裕ですが、やっぱ雪のやせ尾根は一瞬の判断ミスで即死なので、
ものすごく頭を使うから時間がかかりまくりですよ…。
↑誰もいないのでタイマー撮影!
↑360度パノラマ合成写真。クリックすると拡大版表示します。
清々しいほどの快晴と、このすばらしい景色!
これがあるから雪山登山はやめられませんな。
↑西穂山頂はまだまだ先…。
12:00 : いざ帰途へ
↑登ってきた峰々
↑ピーク直下が本日一番ヤバかった場所です。
ピッケル打ち込んで、アイゼン蹴り込んで、足場を確保して撮影。
↑私のトレースを辿って、その急斜面を登ってる人たちを遠くから撮影。
先頭の登り方から、いかに急か分かってもらえるかと…。
(ちなみに本日ピラミッドピークまで行ったのは私とこの2人だけ)
今年は何回か雪山に登ったものの、ピッケルなんていざという時のお守り代わりみたいなもので、使用する機会など皆無でしたが…。
今回、西穂独標から先はピッケルが大活躍。
こんな雪の急斜面、ピッケルで手掛かりを作らなかったら間違いなく滑落してますよ。
(※山の鉄則として、登るからにはそこを降りられるか常に意識しておかねばならないのですが…、
たった一本ピッケルがあるだけで全然大丈夫と意識できるのだから、ピッケルはホントにありがたい存在)
↑細尾根と雪庇
↑ちなみに同じ場所の夏の写真。
雪の上に乗るのが如何に危険行為かわかりやすいかと
後続のお二人は私の踏み跡を辿ってくるワケで、私に命を預けているに等しいから、責任重大であります。
(※ちなみに…。この写真、偶然にも彩雲が写っています。
山小屋で彩雲が出てたと話題になって、写真を撮れずに惜しい事したと思ってたのですが…。
帰宅して写真を見てビックリってヤツ。)
12:45 : 独標へ戻ってきた。
↑人がいたので吊尾根をバックに記念撮影
13:30 : 西穂山荘到着
↑名物の西穂ラーメンを食べる。
14:05 : 西穂高口駅到着。
ロープウエイが15分発なので、急いでアイゼンとピッケルを片付けて…
↑にしほ君と今日登った峰々を撮影。
↑帰りのロープウエイから槍を撮影。
ホントに予想通り丸一日快晴だったなと。
↑本日のGPSログ
この時期の3000m峰は危険がいっぱいだけど…。
高層天気図が読めるようになれば絶対に快晴と断言できる日に突撃できるようになるから、 それだけでもリスクはだいぶ軽減できます。
そして尾根地形の西穂稜線なら雪崩の危険も皆無だから、これはホントに心強い。
やせ尾根である以上は、雪庇崩落や滑落の危険は残るものの、装備と山岳知識があれば問題なし。
これだけの知識の対価として、穂高の峰々の素晴らしい景色を拝む事ができるのだから、 一度あの景色を見てしまうと、もうやめられません