槍ヶ岳〜大キレット〜北穂高岳〜奥穂高岳〜前穂高岳縦走
槍ヶ岳〜大キレット〜北穂高岳〜奥穂高岳〜前穂高岳(↑この写真は春先の常念岳から撮影)。
いつかは踏破したいと思ってた北アルプスでも屈指の長大ルート。
2012年8月29日から2泊3日で行ってきました。
注意
※大キレット〜岳沢小屋までは気を抜いたら滑落死する危険ルートです。
※基本的に3泊4日ないし4泊5日で計画すべきかと思います。
2泊3日で行けたのは、午前中の天候が良かっただけのこと。予備日を設けることは大切です。
3日間ともに昼すぎから雨が降り出しましたし、早出早着を心がける事が落雷事故を防ぐ事になります
8月28日
22:00 : 沢渡の駐車場着。仮眠。
8月29日 槍ヶ岳の天気予報「曇りか霧」
4:30 : 上高地の釜トンネルは夜間閉鎖。5時まで通行不可。
だけど始発のバスは6時…。
今回は長丁場の登山なだけに時間が惜しいのでタクシーで上高地入りする事に。
5:10 : 上高地出発!
↑予定通り行けば、3日後の今頃はあの吊尾根のてっぺんを歩いているのかと…。
槍ヶ岳までは3年前に登ってるので写真は省略します。
詳しくは↓
槍ヶ岳登山
7:20 : 横尾通過。
8:30 : 槍沢ロッジ
11:30 : 殺生ヒュッテ着。
ここで昼飯(カップ麺400円ナリ)
12:30 : 槍ヶ岳山荘着
13:00 : 山頂着
3年前より1時間早く登れたのは、修行の成果って事にしておきましょう。
↑雨でな〜んにも見えませ〜ん!
※雨だと岩が滑って大変危険です。
私の場合は雨の岩登り経験してるから、雷さえこなければ問題ありませんが…。
17:20 : 夕飯後
↑ブロッケン現象!
西の雲がきれてきてたから、夕飯の前後挟んで30分ほど粘って撮影!
↑ガスのかかった槍もまたイイ感じですな。
↑大喰岳方面。
明日は暗いうちから登るし、天気も悪そうだから、ガスった時の事を考えて、しっかりと登山道の位置を目に焼き付けておいた。
8月30日 槍ヶ岳の天気予報「曇りか霧、のち雨または雷雨」
長野、岐阜の天気予報「高気圧に覆われていますが南方からの湿った空気の影響で昼すぎから雨、雷を伴う」
4:00 : 槍ヶ岳山荘出発
まだ真っ暗で外は雷鳴で時々光ってた。 (光ってはいるけど音は聞こえず)
「今から大キレットへ行きます!」って言ったら、周囲の登山者からヤメロと言われたものの…。
スマフォの雨雲レーダーと落雷レーダーで確認した限り、どう見ても強雨域(雷が落ちてる場所)は日本海沖。
風向きから最悪見積もってもこっちへ到達するまで3時間以上の余裕がある。
雲も高くて視界もひらけてたから、「とりあえず南岳小屋まで行って天候見て判断しますよ」と言って出発。
(昼の雷は予測不可能だけど、日の出前はイキナリ雷になる事などありえん。ここらへんは経験してなんぼですよ。)
4:25 : 大喰岳通過
5:10 : 中岳
↑まだ真っ暗
※この状況下で行動できているのは、強力LEDヘッドライト装備だから。
日の出前に行動するのなら遭難防止のためにも強力LEDはあった方がいいです。
○印の見つけやすさが時に命に関わる事もあります…。
(剱岳にて光が弱くて○を見つけられず、崖に突っ込みそうになった経験してますし)
↑富士山がハッキリ見えてますな。
↑槍ヶ岳方面にて御来光
↑あれが南岳か。
5:40 : 南岳着
↑南岳から南岳小屋方面。
↑小屋前に掲げられてた大キレットの警告看板
↑大キレットと北穂高。
ホント、凄まじい地形してるよなと…。
笠ヶ岳方面のガスが切れてきたし、小屋への荷揚げ用のヘリも飛んできた。
ヘリが飛ぶ=パイロットは専門の天気予報を見ているワケで、しばらくは大丈夫だと判断して、大キレット突入決定。
まさにスマフォと雲の動きと周囲の状況を適切に分析したおかげ!
↑梯子を降りて、細い尾根が続く…。
↑南岳方面。カナリ降りてきたなと。
↑北穂から来た人とすれ違い。
↑長谷川ピークに到達。油断できなさそうな場所…。
↑あの尖がりが長谷川ピークか。
↑笠ヶ岳を眺めて一息。
笠にかかった雲は1時間後にこっちへ来るから、天候観察も怠ってはダメです。
↑滝谷の絶壁が見えてきた。
ココはクライミングのメッカだけど…。 こんなところ登るヤツの神経がワカラン。
(※一般人からしたら、大キレット入りしてる私は既に理解不能な領域かと思いますが…。)
↑大キレットの核心部の飛騨泣き。足を踏み外したら即死であります。
まぁ、ビビってたら余計に危険だし、確実に三点確保して通過するのみですよ。
↑飛騨泣きを無事通過して、南岳方面を撮影。
↑北穂高への登りもなかなかしんどい…。
↑あと200m!
↑もうちょい!
8:50 : 北穂高岳着
↑記念撮影
↑北穂から涸沢岳方面。ここも大キレットと同等レベルの難所。
ただ…。キレットでは本当に経験積んだ人としか出会わなかったけど、
こっちはど〜見ても初心者の様なヤツらや、ジーパンとスニーカーの高校生も見かけました…。
↑北穂からの下りもなかなかのもんだと。
↑親子3人連れ
こういう場所では、安全第一。
追いついても「ゆっくり降りてください!」と言って、相手を焦らせないように心がけてます。
焦ると、滑落、落石等とロクな事にならないし。
↑亀岩というらしい。涸沢岳方向からきた人が降りてきてる。
↑涸沢槍への崖っぷち。
↑亀岩を超えたら涸沢槍方面へ一気に登る。
亀岩の大きさと、画面中央の人の大きさから高さが分かってもらえるかと…。
こんな場所の連続で、もはや怖いとも思わなくなった…。
↑涸沢槍、北穂高方面。画面中央を歩いてるオッサンと小屋で隣になって山とカメラ話で酒が弾んだ。
10:50 : 涸沢岳着
↑記念撮影
↑穂高岳山荘、奥穂高方面
ここまでくれば10分で小屋まで行けるし、天気が急変してももう大丈夫!
11:00 : 穂高岳山荘着
↑テラスで涸沢眺めながらビール飲んでたら、ザイテングラートで滑落者が出てヘリが救助に来たとか周囲がざわめきだした。
目の前で落ちた人を見たって人に、「下山者ですか?」って聞いたら、「登ってたガキだった」とのこと。
「下りならともかく、登ってるのに落ちるとかありえんだろ」って周囲の見知らぬ人々と酒の話題に…。
↑小屋の裏手。去年登ってきた白出沢。
よくもまぁこんなガレ場を登ってきたもんだとつくづく思う…。
詳しくは↓
奥穂高〜ジャンダルム〜西穂高縦走
14時過ぎにはゴロゴロ鳴りだして、雨も降ってきた。
今日はブロッケン見るのは無理だなと、小屋へ避難。
夕飯まで雑談…。
今までは、小屋で人の話を聞く方が多かったけど…。
大キレット越え、ジャンダルム登頂、白出沢から登り、剱岳早月尾根日帰り等…。
自分も人に自慢できるだけの登山歴を積んできただけに、いつの間にか人にいろいろ教えてあげられる立場になってたのには驚きました。
8月31日 穂高岳の天気予報「曇りか霧、のち雨または雷雨」
長野、岐阜の天気予報「高気圧に覆われていますが南方からの湿った空気の影響で昼すぎから雨、雷を伴う」
4:10 : 穂高岳山荘出発
昨年は心細かったから、ガイド雇ってた登山者の後ろをついて行ったけど…。
今回は誰もいなかったので単独で出発。というかホントに誰も登ってこない…。
何度も日の出前から登山してるし、この山域はもし道を踏み外してもガラガラだからすぐ気付くって知ってるし、
奥穂までは落石の心配もないって分かりきってるからこそ堂々と単独で登れるのですよ。ホント、経験って大事だなと。
5:00 : 奥穂高岳着
↑日の出前の山頂
映画「岳」のオープニングにてヘリからの空撮で小栗旬がガッツポーズしてた場所。
昼間は登山者でごったがえしてる山頂なのに、だ〜れもいない。まさに山頂を一人占め。
後ろにヘッドライトの灯りが無いから20分は誰も来ないの確実だし、やりたい放題ですよ。小栗旬ごっこしてきました
↑昨年登ったジャンダルム
今回は眺めるだけにしておきます。
↑御来光
↑前穂高へ続く吊尾根、思ったよりも登り下りの連続でしんどい…。
↑西穂方面。以前西穂登った時は、まさか吊尾根から西穂を眺める事になるとは思いもしなかった…。
↑ガスが切れて眼下に上高地が見えた。とんでもない高さだとつくづく思う…。
6:20 : 紀美子平着。
↑ココにザックをデポして、いざ前穂高へ!
↑前穂への登りは鎖も何もない。岩登り。
しかしまぁ3日も3000m級の稜線で生活してたから、呼吸回数は多くとも、全然体が動くなと。
6:45 : 前穂高岳着。
↑記念撮影
↑右端の槍ヶ岳から中央の奥穂高を経由して、ここまで歩いてきたワケだし、
左側のジャンダルムは去年行ったワケだし、文字通り槍穂高連峰(立山含め北アルプス)の3000m峰全制覇!
そしてこの景色!コレ全部登ったのかと感無量であります。
↑明神岳方面。あんなに目立ってるのに、何故明神には登山道がないのか謎…。
バリエーションルートの世界です。
↑雲がまたいい味だしてる。素晴らしい景色!
帰宅後早速カメラのキタムラに大判プリントを注文!
7:15 : 紀美子平でザックを回収していざ重太郎新道の下りへ!
↑長い鎖あり
↑曲がった梯子あり…。
↑雷鳥広場とのこと。
そういえば今回雷鳥の声は聞いたけど、姿は一度も見なかった…。
↑標高を下げるにつれて吊尾根が壁のように見えてきた。
↑岳沢パノラマ。
目指す岳沢小屋はまだまだ遥か下。上高地にいたってはそのまた下。
↑ブッシュ(草むら)は、天然の落とし穴。地面があるように見えて、実は崖です…
コレ、岳沢小屋のスタッフブログで滑落した人の記録を読んでいたから自分はあらかじめ知ってたワケで…。
何も知らなかったら確かに無意識に踏み抜いてしまう事もあるだろうなと思います。
ましてや大縦走最期の下りで疲れもたまってるワケだしねぇ…。
既にログは消えてたけど…。Googleキャッシュは残ってた。
10月3日、安全登山ノススメその5
↑岳沢横断
ここも岳沢小屋のスタッフブログによると、普段は枯沢だけど雨が降るとすぐに大増水して渡れなくなるらしい。
9:20 : 岳沢小屋着
↑上高地まであと4kmか…。
飯を食べてたら登山者が来た。既に稜線は黒い雲で覆われてたし、昼すぎたら確実に雷がくるから、一応ここ最近の天候を伝え、警告してあげました。
というか、ココから穂高岳山荘までどんなに健脚でも6時間かかる。この時間から登るなんて、自分にゃ恐ろしくてできない…。
実際に帰宅後に雷レーダーで確認してみたら、やっぱり雷きてるし、声かけた登山者は無事だったのだろうかと…。
↑岳沢風穴
冷たい風が気持ち良かった。
ここで上高地から登ってきた外国人に英語で、「この先に小屋があるか?どれくらいかかるか?」と聞かれ…。
いやはや、言ってる意味は分かるのだけど、普段しゃべらないからとっさに英語が出てこない。
地図を見せて、1時間くらいと説明。
10:50 : 岳沢登山口着
以前槍沢往復で槍ヶ岳へ登った時は足を引きずりながら下山したけど…。
今回2泊3日で毎日7時間は登山してたのにまったくもって平気。これぞ山に登りまくった修行の成果だなと思います。
河童橋付近から吊尾根を。 5時間前はあの上にいたのかと…。
11:00 : 河童橋着
つくづく思うけどオシャレした観光客だらけの中、3日風呂に入ってなくて汗臭くて登山の恰好している自分は場違い…
汗臭くて申し訳ないと思いつつ、バスで駐車場へ。
そして温泉入って帰宅!
念願だった大キレット越え、槍ヶ岳〜前穂高岳の縦走をやりとげで、ホントに大満足ですよ。
槍ヶ岳単独ですら疲れ果ててしまった3年前からすると、ものすごい成長っぷりも感じられたし、得るものが大きかったなと思います。
そして、2泊3日で走破でき、行動中に一度も雷に遭わなかったのも、きちんとした天候判断や、少々の雨なら濡れた岩場でも問題ないという今までの経験が全て活きた結果なのだと思います。